副鼻腔炎の症状
副鼻腔炎は、次のような症状が代表的です。
重症化すると中耳炎や目、脳への影響、視力低下、意識障害を引き起こすリスクがあるため、耳鼻咽喉科での診察が必要です。
- 透明~黄緑色で粘り気のある鼻水
- 鼻詰まり
- 顔や歯の圧迫感
- 嗅覚低下
- 後鼻漏など
副鼻腔炎に伴う咳
副鼻腔炎は、上記の症状に加え、「咳」や「痰」などの呼吸器症状を引き起こすことがあります。
また、膿が鼻腔から喉の方に流れると、痰が絡んだ咳、気管支炎(副鼻腔気管支症候群)に発展する可能性があります。
副鼻腔炎に伴う熱
副鼻腔炎の症状には、が悪化すると37~38度台の発熱を伴うこともあります。
副鼻腔炎(蓄膿症)とは?
うつる病気?
副鼻腔炎は細菌やウイルスの感染によって鼻の奥の副鼻腔で起こる炎症を指します。
この状態を急性副鼻腔炎と呼びますが、急性の場合自然に治ったり、抗生物質などの薬物療法で比較的簡単に改善します。
副鼻腔の炎症が長引いたとき膿がたまったり、粘膜が腫れたり、症状が3ヶ月以上続く場合は「慢性副鼻腔炎」と呼ばれます。ひどいときにはポリープを形成します。
乳幼児から高齢者まで幅広い年齢層に発症し、多くの場合は外来治療で対応可能です。
副鼻腔炎自体はうつる病気ではありませんが、副鼻腔炎を引き起こす原因の風邪・インフルエンザ等は感染症ですので、注意が必要です。
副鼻腔炎の原因
副鼻腔炎の主な原因はウイルスや細菌感染ですが、体の抵抗力が低下している時、例えば疲労や他の病気がある時に発症しやすくなります。小児の場合は細菌以外の要因も考えられます。
風邪・鼻炎
副鼻腔内の粘膜上でウイルスや細菌が増殖し、炎症が発生します。また、鼻水が蓄積しやすい状態も炎症の要因になります。
咽頭扁桃(アデノイド)
鼻の奥にあるアデノイドの肥大が原因で鼻の通気性が低下し、鼻水が溜まりやすくなることで炎症が生じるリスクが高まります。
歯が原因
歯周病や虫歯が原因(特に上の奥歯や親知らず)で、歯根の感染を通じて細菌が頬部のある上顎洞へ炎症が拡大することがあります。
真菌(副鼻腔真菌症)
副鼻腔内で真菌(カビ)が増殖し、真菌球塊を形成して激しい炎症をもたらすことがあります。
副鼻腔炎の診断・確かめ方
副鼻腔炎の診断には、主に視診と画像診断が用いられます。
詳細な鼻腔内検査には電子ファイバースコープが使用され、鼻の形状、ポリープの有無、鼻水の状態をチェックします。
副鼻腔炎の場合、鼻腔内に明確な異常が見られないこともあるため、CTスキャンなどの画像診断を行うこともあります。
CTは、病変の位置や程度、骨の構造を詳細に把握するのに最適です。
正常の副鼻腔(CT画像):副鼻腔内が黒くうつる。
副鼻腔炎(CT画像):副鼻腔内の膿やポリープなどの炎症部が灰色にうつる
副鼻腔炎を放置するとどうなる?
適切な治療を受けずにいると、感染によって深刻な合併症を招くリスクがあります。
特に子供の場合、鼻と耳が近くに位置しているため、鼻と耳をつなぐ耳管という管を通して中耳炎を発症しやすいです。
また、感染が骨に及ぶと骨髄炎を引き起こすことがあり、脳や皮膚への拡散は髄膜炎や蜂窩織炎のリスクを増加させ、視力への影響も含めた重大な健康問題を引き起こす可能性があります。
副鼻腔炎の治し方
・膿を出す方法は?
副鼻腔炎は自力で治せる?
軽度の副鼻腔炎は、特に治療を行わなくても自然に改善する場合があります。
免疫が下がる過労・ストレスを避け、免疫力を高める食事を摂りましょう。
また、鼻洗浄は鼻腔を清潔に保つのに有効ですが、他の病気が隠れている可能性や症状が慢性化するリスクもあるため、医師の診断を受けてから行うことをお勧めします。
耳鼻科での治療
内服薬
副鼻腔炎(蓄膿症)は細菌によって引き起こされることが多いため、抗生物質の投与が有効とされます。
ただし、アレルギー性鼻炎が原因で起こることも多いため、アレルギー剤を併せて投与することも多いです。
ステロイド点鼻薬
ステロイドは鼻粘膜の炎症を抑制する作用があり、直接鼻に薬剤を散布することで、炎症を減らし、呼吸を楽にする効果が見込まれます。ただし、ステロイドを含む点鼻薬の長期間にわたる使用は、逆に鼻粘膜の腫れを引き起こし、症状を悪化させる可能性があります
手術
薬物療法による改善が見られない、または副鼻腔炎(蓄膿症)が再発する場合は、手術治療が選択されます。ESS(内視鏡下鼻副鼻腔手術)では、内視鏡を使用して、鼻の穴から手術操作し、鼻腔と副鼻腔の隔壁を開放し、副鼻腔内に貯留した膿や腫れた病的粘膜やポリープを取り除きます。