好酸球性副鼻腔炎の原因や手術| 耳鼻咽喉科たかだ鼻クリニック大阪
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好酸球性副鼻腔炎(難治性副鼻腔炎)

好酸球性副鼻腔炎の症状

好酸球性副鼻腔炎の症状
  • 早期からの嗅覚の低下
  • 鼻詰まり
  • 鼻水(粘稠、ニカワ状、膿性、粘液性、ムチン)
  • 後鼻漏(鼻水が喉に流れ落ちる)
  • 頭痛
  • 頭が重く感じる
  • 頬の痛み
  • 喘息を伴う咳
  • 好酸球性中耳炎による難聴 など

好酸球性副鼻腔炎とは

好酸球性副鼻腔炎好酸球性副鼻腔炎は、両鼻の中にポリープ(鼻茸)が頻繁に発生する難治性の慢性副鼻腔炎です。
通常の慢性副鼻腔炎と異なる点は、鼻の粘膜やポリープに白血球の一種である好酸球が広がっているという特徴で、全身性の疾患との関連が強く、type2サイトカインによるtype2炎症が主体となって副鼻腔炎がおこります。副鼻腔粘膜ではType2炎症により粘膜炎症、ムチンといったネバっとした鼻水、ポリープが形成されます。
ステロイド治療に反応しやすい傾向があります。
治療後も再発を繰り返しやすい難治性の病気(本邦では指定難病)です。
さらに、喘息やアレルギー性鼻炎、好酸球性中耳炎、稀に消化管への影響による腸炎といった合併症を伴うことがあります。

特徴

  • 成人に多く見られ、特に40歳前後で発症するケースが多い
  • 喘息や中耳炎を併発することが多い
  • 鼻内にポリープが多数出現する
  • 血液中の好酸球数が増加する
  • CT検査を行うと、両側の篩骨洞(しこつどう)優位に病変が集中していることが確認される
  • 病理組織学的検査でポリープ内の好酸球数の増加が見られる
  • 抗生物質に対する反応が薄い
  • ステロイド薬による治療に反応する
  • 易再発性

原因

細菌感染による一般的な副鼻腔炎とは異なり、原因はまだ明らかになっていません。
白血球の一種である「好酸球」が増加することで異常な炎症が起こります。

合併症

好酸球性副鼻腔炎は、嗅覚の低下、鼻の詰まり、鼻水の漏れといった症状に加えて、様々な合併症をもたらすこともあります。

気管支喘息

合併症として気管支喘息が出るケースは非常に多く、好酸球性副鼻腔炎の患者様の80%以上に見られます。好酸球性副鼻腔炎にかかってからすぐに合併する傾向にあります。
また、気管支喘息を持つ方の中に、好酸球性副鼻腔炎を発症している方もいます。どちらが原因で、どちらが合併症なのかも未だにはっきりとされていません。

好酸球性中耳炎

好酸球性副鼻腔炎が進行した時、中耳炎を合併することもあります。これは急性中耳炎とは異なり、抗生物質よりもステロイド治療の方が効きやすいです。
繰り返し発症する場合、重度の難聴に至ることもあります。

好酸球性副鼻腔炎の検査と診断

  • 鼻鏡検査や内視鏡検査(ポリープの確認するために行います)
  • 副鼻腔CT
  • 血液検査(好酸球数を測定するために行われます)
これらをスコア化して評価します。
この方法は「JESRECスコア」として本邦で考案された診断方法です。
確定診断をつけるには手術で鼻ポリープの組織をとって、一視野内の好酸球の数を詳しく調べる検査を行う必要があります。

明確な根治治療はありませんが、ゴールはできる限り経口ステロイドの使用をなくして、患者様の自覚症状の改善を継続することです。

治療方法

内服ステロイドをメインとした薬物療法や手術療法、鼻洗浄が行われます。
好酸球性副鼻腔炎の診断方法には明確なガイドラインが存在しますが、治療法に関してはまだ確立されたガイドラインがありません。ただし近年では、研究が進んでおり新しい治療法も開発されつつあります。

薬物療法

基本的には抗アレルギー薬やステロイド薬を使用します。病気の急性期には用量を増やし、症状が落ち着いた寛解期には減量します。
また、抗アレルギー薬や鎮咳去痰薬、噴霧用ステロイド点鼻、滴下ステロイド点鼻、吸入用ステロイドなど、他の薬剤との組み合わせで使用されることもあります。

手術

ステロイドを使い続けるのを控えるために、手術を検討することもあります。特に「内視鏡下副鼻腔手術」では、副鼻腔を改造し、異常な粘膜や鼻ポリープを取り除く処置が行われます。これによって鼻腔の形状が整えられるので、鼻腔の容積も増え、通気性向上の効果が得られやすくなります。

鼻洗浄

鼻水や鼻の中のウイルスや細菌、かさぶたなどを取り除き、鼻腔を除菌する方法です。粘膜の炎症を和らげるために行います。

免疫製剤注射

type2炎症を引き起こすtype2サイトカインによるサイトカイン(体の細胞間の情報伝達を行うタンパク質)であるIL-4(インターロイキン4)とIL-13(インターロイキン13)の働きを抑制し、鼻と副鼻腔の炎症を減少させます。この治療により、鼻ポリープのサイズを縮小し、鼻詰まりや嗅覚障害などの症状の改善が見込まれます。
デュピクセントは、腹部、太もも、または上腕の外側に注射して使用します。