舌下免疫療法とは
舌下免疫療法は、アレルギーの原因物質である「アレルゲン」を少量から体に慣らす治療です。
スギ花粉やダニのアレルゲンを含んだ錠剤を舌の下に入れて溶かすという方法で服用されるため、「舌下免疫療法」と呼ばれています。注射を用いることはありません。
初回の投与は医療機関内で行い、それ以降は毎日ご自宅内で服用していただきます。
服用する回数は1日1回で、少量から服用を始めて少しずつ増量します。その後は定期的に決まった量を毎日、長期間継続します。
この治療は3年間継続することが推奨されており、治療終了後も長期間にわたり効果が持続するといわれています。
また、スギ花粉に対する舌下免疫療法は、花粉が飛散するシーズン以外で行う必要があります。
治療の対象になる方
5歳以上、また血液検査などでアレルゲンが特定できている方を対象としています。
ただ基本的には、錠剤を舌の下に置いて飲み込むという方法ができる方でしたら、どの年代の方でも受けていただくことが可能です。
治療が適応されない方
β阻害薬や抗うつ薬、ステロイド(全身投与)、抗がん剤などを使用している方、重度の気管支喘息や心臓病、がん、免疫疾患を患っていて治療を受けられる方は、この治療を受けることができない可能性があります。
舌下免疫療法の効果
長期的な治療によってアレルギー症状を軽減させたり、症状を長期間抑えたりする効果が得られます。
症状が完全に解消されない場合でも、症状を落ち着かせ、アレルギー治療薬の使用量を減らすことが可能です。
効果は一生続く?
効果は永続的ではなく、7年以上経過すると症状が再発する可能性があります。しかし、その場合は再び舌下免疫療法を行うことで改善が見込めます。
花粉症は年齢に関係なく発症する傾向があり、10歳前から発症することもあります。何年、何十年も毎年花粉症に苦しむのはとても辛いと思います。舌下免疫療法で症状を軽減し、抗アレルギー剤の服用期間を短縮して快適な生活を送ることもぜひ検討してみることをお勧めします。
デメリット・副作用
治療が適応しない方もいる
舌下免疫療法は全ての方が受けられる治療法ではありません。
以下に当てはまっている方は舌下免疫療法を受けられない可能性があります。
- 重度の気管支喘息を抱えている方
- がんや免疫系に関する疾患を患っている方
- スギ花粉症またはダニアレルギーではないアレルギーを持つ方
長期的な治療が必要
舌下免疫療法の効果を得るためにはある程度の治療期間が必要です。
3年以上の継続が推奨されています。
副作用が起こる可能性がある
アレルギーの原因物質を摂取することからアレルギー反応が起こる可能性があり、場合によっては重い副作用(アナフィラキシーショック)が起こる場合もあります。また、吐き気や口内炎、腹痛、蕁麻疹などの副作用も起こり得ます。
ただし、これらの副作用は注射によるアレルゲン免疫療法よりも、発生するリスクが低い傾向にあります。
軽度の副作用
- 嘔吐
- 腹痛
- 下痢
- 喉の違和感
- 蕁麻疹
- 口内や唇のかゆみ
- 耳のかゆみ
重度の副作用
- アナフィラキシーショック
- 喘息発作
- 意識障害
※上記のように重篤な副作用の症状が現れた場合は、迷わずに医療機関へ受診してください。
治療期間・始める時期はいつから?
治療期間はどれくらい?
舌下免疫療法は、数ヶ月~1年、2年で効果が現れるケースがほとんどです。ただし治療期間内に中断すると元の状態に戻る恐れがあります。そのため、少なくとも3年以上続けるのが望ましいとされています。
治療を開始する時期
スギ花粉症の場合
ダニアレルギーの場合
費用
費用 | |
3割負担 | 4,000~5,000円 |
定期的な通院にかかる費用 | 約2,000~3,000円程度 |